コナラ

歩いていたら丁度いい木陰とベンチのある公園を見つけた。
ベンチに座って空を見上げるとコナラ(だと思う)が大きく枝を伸ばして、夏の暑さを和らげてくれている。

靴を脱いで、ベンチに横になってみた。
視界には空と、枝たちしかいない。

どうしてこんなに落ち着くんだろう。植物に囲まれていると。
小さい頃から自然のまま生き生きしている植物たちが、とても好きだった。
植物といると、人として、人と関わる世界を離れる代わりに、人との関わりの中で小さくなっていた自分の存在が立ち現れてくるような気がしていた。

セミが音のドームを作っている。
いつも思うけれど、セミがどれだけ鳴いていてもうるさいとは思わない。

幾百のセミの声が共鳴して、聞こえない周波数で鼓膜や頭蓋を繊細に振動させる。

その振動は心地よく、何も考えられなくしてくれる。

静かな気持ちになっていく。

About the author: taishi yoshida